こだわりと客観視

先日ネットのニュースを見ていると「串外さないで、こだわりと功罪」との見出しが。

タイトルが気になったので開いてみると焼き鳥屋さんが焼き鳥を串から外さず食べてほしい、との内容でした。

こだわりを持って商品を提供している同じ立場として、とても気になる記事だったので、興味を惹かれ読み進めてみました。

正直愕然としました。串を外して欲しくない理由が「一生懸命一本一本刺している」。

これでは何もお客さんの得する情報がありません。

ただ自分たちの努力や仕事量が多いのだと押し付けているだけと思ってしまいました。

こだわりというので、「串を外さなかったら利点がある」のかと思い込んでしまいました。

大体個人の焼き鳥屋さんなら一生懸命一本一本串打ちしているに違いありません。

当店も一粒一粒ハンドピックして、初めて焙煎を行い、焙煎後もハンドピックするのです。

それをわざわざお客さんに自分から「僕はハンドピックにかなりの時間を費やしていますよ」とは発言しません。

しかも、仕事量が多いと伝えるだけでは、「こだわり」ではないでしょう。傲慢です。

僕自身、自分が追求する「美味しいコーヒー」を提供するためこだわっています。

ただ、これも受けとる側(お客さん)のスタンスがそれぞれあります。

「コーヒーが好き」といっても千差万別なのです。

受けとる側が「とにかくコーヒーを飲ませてほしい」とスタンスの方なら
「コーヒーを抽出する温度は」
「豆のままの方が鮮度が良い」
「スペシャルティーコーヒーとは」
「酸味の良い豆の方が評価されやすい」
と並べても嫌気がさすだけです。

ただ、僕としてもより美味しく、楽しくコーヒーを飲んでもらうためにも、伝えていきたい事は多くあります。

そして、そのためにずっと珈琲教室を行ってきました。

珈琲教室では知識を身に付けたい方が集まってくださるので、極力僕の持っているコーヒーの引き出しを少しでも多く出しています。

お店のこだわりを知ってもらいたいのなら、客観的に「お客さんに伝えたい情報」と「お客さんが求めているのか」を判断しなくてはと思います。

今回のケースの場合「一生懸命一本一本串を刺している」とこだわりたいのなら「串を外して食べる方はお断り」と、書いた方が良いのではないでしょうか。

2 Replies to “こだわりと客観視”

  1. この前テレビでしてたけど、焼き鳥は一口目を大きめにして塩加減もかえてるそうですよ。(全部のお店じゃないと思うけど。)
    なので一人で一串食べることが一番おいしいそうです。

  2. Takahashiさんコメントありがとうございます。
    僕もお店の方のブログは全文読んでみました。

    そこでは、塩加減の事は「真ん中より上の部分を若干強めに塩を振っています」と書いていても、科学的に根拠は書いていなかったもので、僕としてはあまりこだわりのポイントが伝わりませんでした。

    ただ、テレビでしっかりとした根拠を伝えられていたのですね。

    僕もコーヒーの魅力を伝える者として、いつも「傲慢ではいけない」と心がけています。

    僕が見ていなかったテレビでの話。ご指摘頂きありがとうござました。

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