エージング豆

コーヒーの美味しさというものには、色々なベクトルがあります。

消費者の嗜好で選ぶもので、どれも各々が考える「美味しい」に間違いはないと思います。

甘味、酸味、コク、苦味、香り。これらは味のカテゴリーです。これも個人差で好き嫌いがはっきり分かれるものです。

その他に付加価値の部分もとても大きいです。

ブルーマウンテン、ウ〇チコーヒーで知られるコピルアックのような希少性の高いもの、品質を競う品評会(C.O.Eなど)で入賞したもの、そして、生豆を何年も寝かしたエージング豆(熟成豆)など。

ここではエージング豆について僕なりの意見を書きたいと思います。

エージング豆は生豆の状態で数年寝かし熟成させる方法です。

これによってまろやかになりコクが生まれて、他の価値を生み出しています。

ただ、コーヒーもお米と同様に扱われていて

ニュークロップ(収穫年の豆)

パーストクロップ(前年度の豆)

オールドクロップ(3年以上前の豆)

と変わっていき、香りを失っていきます。

僕自身エージング豆を倉庫で保管して作り、試してみました。

僕の感想としては、あまり納得のいく品質ではありませんでした。

新豆よりも酸味がやわらかで、まろやかでコクがあって全体的に丸みのある味になってました。

このまろやかさなどに関しては、新豆でもコクがあってまろやかな豆はいくらでもあるので、何もエージング豆でなくてはならないというスペシャルなものは感じませんでした。

そして、やはり新豆のフレッシュな香りは全く損なわれていたので、少し残念なものでした。

僕が唯一エージング豆の利点として挙げるとするならば煎りやすさのみです。

エージング豆は水分が綺麗に抜けているので、焙煎士としてはとても煎りやすく誰が煎ってもそんなに失敗はないと思います。

エージングをして得られたコクやまろやかさに重き価値を置いている方は、それが一番だと思います。

ただ僕としては「美味しいコーヒー」は「香り」だと考えているので、あまりそこに価値を置けません。

また、熟成したという付加価値だけで価格が品質に見合うとも思いません。

これが間違っているかどうかで話しているのではないので、選ぶ方の嗜好で選んで頂くのが一番だと思います。

それにしても、「美味しいコーヒー」を求めて色々と試してみることはとても面白いものですね。

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