職人仕事の楽しさ

先ほどNHKのBShiで大阪堺の刃物職人さんの特集を見ていました。

その中で、「焼入れ」という作業があり、この作業を行う事で硬い包丁が出来るそうです。

この焼入れ作業で重要なのが800度以上になるまで焼く事だそうで、800度以下で焼き止めをすると刃物が曲がるらしいです。

そして焼入れてどんどん赤くなっていくのがみえました。

でもどのタイミングで炉から上げるのだろうと思っていたら、職人さんは「刃の赤さをじっと見れば温度が分かる」と言うのです。

僕としては真っ赤である事は無論判りますが、程度の違いはテレビを見ていて判りませんでした。

でも職人仕事は毎日毎日同じ事をする事で向き合っている物と会話が出来る様になるのですね。

これは僕の様な職人の端くれでも感じます。

毎日毎日焙煎を行う事で豆と会話が出来るのです。

ちょっとした焙煎度の違いを色で判別し、香りは煎りあげる段階で鼻で確認します。

感覚というのは不思議なもので毎日長時間していれば研ぎ澄まされていきます。

でも僕はまだまだ豆との会話が下手ですが・・・。

テースティング

エクアドル・ガラパゴス諸島・サンタクルス農園をテースティングをしました。

シティで煎り上げたのですが、フローラルの香り、柔らかい酸、コク、甘味とそれぞれバランスが良く混在していました。

焙煎度をシティよりも浅く煎りあげると、もっと香りと酸味を活かせる事が出来そうな気がします。

何度か色々な焙煎度で試してみたくなる魅力を持った豆です。

つくづく素材の重要性を感じる

焙煎士の仕事はおいしいコーヒーをお客さんに届ける。これに尽きると思います。

その為には「確かな焙煎」と「素材選び」が重要となります。

ですが「素材選び」は今までのコーヒー業界では重要視されず、焙煎と抽出の技術でおいしいコーヒーは作られると考えられてきました。

ですが近年(2000年以降)コーヒーはどこで作られ、どういう品種で、どういう風に精製されているかが重要だと気づき、香味による評価のもとランク分けされるようになりました。

そのトップランクをスペシャルティコーヒーといい今ではとても銘柄も豊富になりました。

そして、スペシャルティコーヒーを扱うお店の焙煎士の仕事として「素材選び」という重要な仕事が新たに増えました。

僕自身お店を開業するまでに約200種類の豆を試し、お店のオープン当時の7種類を厳選しました。

今でもさらなる高品質の豆と出会うべく、さまざまな豆を取り寄せテースティングを行なっています。

先日もサンプルを3銘柄送ってもらい、テースティングを行なう予定です。

そしてテースティングをすればするほど「おいしいコーヒーは素材なくして成しえない」と思うようになりました。

そう思うと栽培方法が気になり、コーヒーの生豆が出来るまでにまで興味は及びました。もちろん色々な資料で勉強していますが現地に行った事はないので分からない部分が多いのです。

いつか各国の農園を巡る事が出来ればと思います。

コーヒーの価格高騰

最近毎日お客さんから「コーヒーの価格が上がっているそうですね。「販売価格が上がるのですか?」と質問を頂きます。

連日テレビで報道されている通りコーヒーの価格が大幅な高騰をしています。

特にスタンダードランクの豆の値上げは激しく、当店のようなスペシャルティランクの豆も価格が上がっています。

これら高騰の原因は「投機マネーの資源市場への流入」と「新興国の需要拡大」です。

これは僕の見解ですが、後者の需要拡大は何年も前から耳にしていた情報で、急な価格高騰には少々の影響はあっても、強い影響があると思えません。

ですが投機目的による価格高騰はリーマンショック以降の影響がもたらしたもので、これによる価格高騰が顕著に現れていると思います。

しかし、どこまでこの価格高騰が続くかは誰にも読めず、僕自身困惑しています。

お客さんに極力高品質な豆を低価格で提供したいので、現在の店頭販売価格を当面変える事は考えておりません。

上がったとしても1杯あたり¥10も上がる事はないと思いますが…。

こんな豆ご存知ですか?

ちょっと下品ですが、ウンチコーヒーを知っていますか?

このブログでも書き、マニアックな方は知っていると思いますがコピルアックです。

この豆はインドネシアのバリ島でジャコウネコがコーヒー豆を食べ、その豆がウンチとして排出されたものです。

とても稀少なもので、僕自身も一度しか口にしたことがありません。

品質はとても良く濃厚なコク、甘味のある豆でした。

そして、こんな豆もあるのです。

鳥バージョンウンチコーヒー。

この豆はブラジル産のものですが、農園主がコピルアックをヒントにジャクーという鳥に食べさせ精製したものです。

僕も飲んだ事はないので分かりませんが興味があります。
でも、ウンチ・・・。

高品質なコーヒーは”酸”

高品質なコーヒーは大体「ココアやチョコ」、「フルーティ」なものの2つに大別されます。

そして、カップオブエクセレンスの最高峰の品評会で最も評価されるポイントが「酸」です。

ひとことで酸味というとすっぱいものを連想して、敬遠される方が多いと思います。

実際に当店でも「酸味が少ないコーヒーが好きです。」と言われるお客さんが多いのです。

これを聞くととても寂しく感じ、また悲しさがあります。

実際にすっぱいコーヒーがあるからです。僕自身もこの酸味のコーヒーは大嫌いです。

その原因はごく浅煎りの豆や品質保持を無視した経時劣化した焙煎豆です。

これは100%扱う人間の都合の問題で、コーヒー本来の魅力ある酸味ではありません。

コーヒー本来の魅力ある酸味はすっぱいものではなく、柑橘類、リンゴ、ブドウなどのさわやかな酸味です。

その上質な酸味を持ち合わせたコーヒーこそ高評価を得る事が出来るのです。

ちょうど3月中旬より発売のイエメン・モカ・ホワイトキャメルも美しい酸味を持っている豆です。

「酸味が苦手」といわれる方に一度は試して頂きたい豆なのです。

教えれない焙煎技術

「焙煎は難しいものですか?」とお客さんから質問を頂きます。

僕は「簡単です」と答えています。

というのも焙煎を行ううえで僕がみているポイントは、

・気温
・湿度
・豆の量
・各豆の水分量
・釜の作り方(焙煎前の暖気運転)
・豆を投入時の釜内温度
・火力
・豆の温度上昇
・焙煎時間
・釜内の排気量(ダンパー操作)
・煎り止めのタイミング
なのですが、これらを考えていれば豆は煎る事が出来るのです。

ですが「豆を煎る」事は簡単に出来ても「おいしく豆を煎る」事はなかなか出来ません。
それがいかに綺麗に水分を抜きつつ、香りを纏わせる事が出来るかという事です。

また焙煎は教えられる部分はありますが、絶対に教えられない部分があります。

その中で最も難しいのは季節の変わり目(気温・湿度)がもたらす焙煎機への影響です。
こればかりは毎日焙煎作業を行って感じなければなりません。

他の焙煎士の方はどうか分からないですが、僕の場合2年かかりました。

定休日は半日潰して焙煎機を回して練習していました。

そこで初めて見えてくる部分があるのです。
だからいかにこなしているのかが重要なのです。

だから僕は「簡単です」と答えています。

よくある質問

お客さんからよく頂く問い合わせがあります。

当店で買ってもらい、「挽いて持ち帰ったのですが袋がパンパンに膨らむのは何故ですか?」との事。

これはコーヒーが新鮮な証拠なのです。

このブログでも書いた「真空パック」の事に関連します。

そもそも新鮮な豆は炭酸ガスを放出しているので真空状態に出来ません。

コーヒーの香りが保たれるのは常温で2週間程度です。

ですから当店の豆は3日以内で売切る事を考え少量焙煎し、焙煎後1週間経ったものは廃棄しています。

そして、その鮮度のある豆を挽いた場合炭酸ガスを放出する量が増えるので袋を強く膨らませるのです(豆のままで持ち帰った場合はゆっくりと袋が膨らみます)。

ですから反対にいえば袋が膨らんでいないのは鮮度が保たれていないという事です。

かわいい麻袋

3月中旬より発売予定のイエメン・モカ・ホワイトキャメルの麻袋です。

麻袋には豆の情報が色々と記載されています。

またデザインも施されていて様々です。

こんなかわいいのもあるのです。

極みブレンドと苺大福

晩ご飯に頂いた苺大福を当店の極みブレンドでいただきました。

コーヒーはアンコとよくマッチします。

みなさんも色々なお菓子や料理と合わせてみてください。